岡山大学の研究グループは、岐阜大学のグループと共同で、抗酸化配合剤TwendeeX(TwX)の認知症予防効果を世界で初めて臨床試験により実証し、酸化ストレスが認知症の原因として重要なファクターであることを示した。
近年、認知症患者は急速に増加しており、今や認知症の新薬開発は全世界共通の喫緊の課題となっている。現在の医療では、「今後認知症になる可能性の高い認知症の前段階」(MCI: mild cognitive impairment)では投薬ができず、月日の経過により進行して認知症と診断されて初めて投薬が開始されている。その上、既存の薬剤は副作用が多く、確実に進行を止めるものでもない。
一方、TwXは安全性試験も実施されているサプリメントであり、認知症の診断前のMCIの段階から安心して服用ができ、認知症予防効果が期待できるという。
本グループは、TwXを培養細胞に投与すると細胞およびミトコンドリアの酸化ストレスを低減できること、マウスにTwXを投与すると新生神経細胞数の減少を抑制できること、急性脳梗塞モデルマウスでは酸化ストレスと炎症が抑えられて梗塞体積が縮小すること、アルツハイマーモデルマウスでは神経密度の低下が抑制されることを確認。これらを踏まえてTwXのヒトへの臨床研究を開始した。
日本人のMCI患者に本物(TwX)か偽物(プラセボ)か全く区別できない状態にして6カ月間投与した後、知的評価スケールであるMMSEと長谷川式スケールを測定した。その結果、TwXを飲んだ患者はMMSE、長谷川式スケールの両方で服用開始と比べて有意に改善が認められ、これにより、酸化ストレスを抑えることでヒトにおける認知症の予防ができることが確認された。
TwXは、認知症予防学会エビデンス創出委員会からA判定を受け、認知症予防効果があると公的学会から認定を受けた世界初のサプリメントとなった。今後の新たな認知症治療薬の開発にもつながると期待されている。