東京医科歯科大学の片桐さやか助教と戸原玄准教授の研究グループは、経口摂取の重要性を細菌学的な観点から証明。摂食嚥下訓練の重要性を細菌学的な観点から実証した。

 脳卒中後に口からの栄養摂取(経口栄養)が不可能になり、チューブやカテーテルによる栄養の直接注入(経管栄養)となってしまう患者は多い。しかし噛んで飲み下す摂食嚥下訓練をリハビリテーションとして行うことで、多くの場合、再び口から食事を摂取できるようになる。嚥下により食物・唾液・口腔内細菌が腸管へ流入して腸内細菌叢に影響する可能性があるが、詳細は不明だった。そこで、研究グループは経口栄養の再獲得と口腔内・腸内細菌叢との関連を細菌学的に検討した。

 脳卒中後の病状が安定した時期に経管栄養となり、その後、摂食嚥下訓練を受け経口摂取となった8名を研究対象とした。摂食嚥下訓練前の経管栄養時と、訓練により経口栄養となった後に唾液と便を採取。口腔内と腸内細菌叢の細菌種、細菌種間の相関関係、その細菌叢の予測される機能(機能遺伝子)を解析した。

 その結果、経口栄養の再獲得により、口腔内・腸内細菌叢の多様性が増加し、細菌叢の組成が変化した。加えて、ある種の細菌の量が経口食物摂取の再開後、口腔内・腸内で増加。また、細菌同士の相関関係を示したネットワーク構造も、経口栄養の再獲得後には口腔内と腸内で、一つのネットワークに多くの細菌が関わるように変化していた。機能予測解析により、経管栄養時よりも経口栄養時により発現しうる代謝経路があることが分かった。

 今回、経口栄養再獲得による全身の健康への重要性が明らかになり、研究成果が今後の医療向上に役立つことが期待される。

論文情報:【Frontiers in Cellular and Infection Microbiology】Re-initiation of oral food intake following enteral nutrition alters oral and gut microbiota communities

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