歩行中の交通事故による死傷者数を年齢別にみると、7歳児の死傷者数が際立って多い。この傾向は1994年から24年間変わることがなく、日本の交通事情における大きな課題となっている。金沢大学理工研究域地球社会基盤学系の藤生慎准教授とこくみん共済coop(全国労働者共済生活協同組合連合会)は、子どもの交通事故を減らすための取り組み「7才の交通安全プロジェクト」において共同研究を開始する。

 交通事故総合分析センターは、7才児の死傷者数が多い理由を、登下校中の事故が増加するためと推定している。幼稚園・保育園までは常に保護者や園の関係者が見守る環境にあるが、小学校入学とともに登下校や放課後など子どもだけで行動する機会が増える。このため小学校入学を境に交通事故の発生リスクが高くなるというものだ。

 そこで金沢大学とこくみん共済coopは、7歳児の事故遭遇率の主要因が「飛び出し」である事実に着目。金沢大学では、理工研究域地球社会基盤学系、理工学域環境デザイン学類、大学院自然科学研究科の研究者らが金沢大学人間社会学域学校教育学類附属幼稚園と共同して実証実験を実施した。

 年長年次の男女園児を被験者にアイマークレコーダーを用いて、交差点での挙動を調査した結果、現状の「とまれ」標識の位置や表記が子どもの注意喚起には不充分であると判明した。また、同幼稚園園長へのヒアリング調査では「小学生になる前に、幼児教育の専門家が交通安全について教えるべき」との回答も得た。

 これらの結果から、園児や小学校低学年に伝わりやすい標識で飛び出し事故を防ぎ、同時に、小学校入学前のタイミングで幼児教育の専門家による交通安全教育が必要であると示された。 金沢大学とこくみん共済coopは今回の実験を契機に、交通安全の新たな改善策についてさらに研究を重ねていく。

参考:【こくみん共済 coop】こくみん共済 coopと金沢大学が産学連携の共同研究を開始 子どもの交通事故を防ぐ「7才の交通安全プロジェクト」(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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