政府の第3回日本医療研究開発大賞受賞者が決まり、内閣総理大臣賞に糖の再吸収を妨げ、血糖値を下げる新たな糖尿病治療薬を開発した大阪大学大学院医学系研究科の金井好克教授と田辺三菱製薬が選ばれた。授賞式は2020年1月10日、東京都内の首相官邸であり、安倍晋三首相から金井教授らに表彰状が手渡された。

 内閣府によると、金井教授らは腎臓で糖を再吸収するたんぱく質が「SGLT2」であることを同定し、SGLT2の機能を抑えることで尿中への糖の排出が促進されて血糖値が低下することを突き止めた。

 田辺三菱製薬はこの作用を生かしたSGLT2阻害薬のカナグリフロジンを2型糖尿病治療薬(※1)として完成させた。治療薬は2013年に米国と欧州、2014年に日本で製造販売が承認されたのをはじめ、世界80カ国以上で販売されている。

その他の主な受賞者・団体は次のみなさん。
健康・医療戦略担当大臣賞=実験動物中央研究所(最先端実験動物開発による医療分野の研究開発に対する貢献)▽文部科学大臣賞=理化学研究所・竹市雅俊チームリーダー(たんぱく質カドヘリンの発見)▽厚生労働大臣賞=オリンパス、トロント大学付属トロント総合病院・安福和弘教授(超音波内視鏡に吸引生検診を組み合わせた病理診断機器の実用化)▽経済産業大臣賞=メトラン、聖路加国際大学・宮坂勝之名誉教授、国立成育医療研究センター・中川聡診療部長(新生児の負担が小さい人工呼吸器を実用化)

※1 2型糖尿病 不摂生な生活や食べすぎなどが原因となって発症する糖尿病で、原因不明の体重減少や他尿症などが症状となる。

参考:【内閣府】第3回日本医療研究開発大賞について(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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