海洋研究開発機構と日本バイオプラスチック協会は無人深海探査機の「江戸っ子1号」を使い、生分解プラスチックが深海底でどのように分解するかを調べる実験を始めた。南鳥島周辺海域の深さ5,000メートルの海底に1年間、生分解プラスチックのサンプルを置き、観察結果を今後の材料開発に生かす。
海洋研究開発機構によると、実験は産業技術総合研究所の中山敦好主任研究員、東京大学大学院農学生命科学研究科の岩田忠久教授も加わった産官学連携で実施する。
江戸っ子1号に取り付けられた生分解プラスチックのサンプルは、プラスチックの分解課程を江戸っ子1号に映像として撮影され、深海底でどのように分解されるかを観察される。サンプルには既に製品化されているもののほか、研究開発中のものも含まれる。
生分解プラスチックの分解試験は沿岸の浅い海で過去に実施例があるが、海洋研究開発機構は水深5,000メートル以上の深海底で実施するのが世界で初めてとしている。
プラスチックごみは全世界で年間800万トン以上が海に流れ込んでいると推計され、生態系への影響など海洋汚染が世界的な社会問題に浮上している。これを抑制するにはプラスチックごみをできるだけ出さない社会に切り替えるだけでなく、製品としての機能を満たしながら海中や海底で分解する素材の開発が欠かせない。
生分解プラスチックは微生物の働きで最終的に水と二酸化炭素に分解されるが、高圧、低温で太陽光の届かない深海底では陸上と大きく環境が異なり、生分解プラスチックがどのように分解されるかを確認する必要が出ていた。