新型コロナウイルス感染拡大による首都封鎖が実施された場合、1カ月で日本のGDP(国内総生産)を5.3%押し下げることが、兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科の井上寛康准教授、早稲田大学政治経済学術院の戸堂康之教授の研究で分かった。

 兵庫県立大学によると、井上准教授らはサプライヤーや顧客が供給や需要を減らしたときの企業の対応を示すモデルに、民間信用調査機関の東京商工リサーチがまとめた全国160万社の情報を適用。首都封鎖で東京にある企業のうち生活必需産業を除いて経済活動が停止した場合を想定し、GDPへの影響を推計した。膨大な計算はスーパーコンピュータ「京」を用いている。

 その結果、首都封鎖の初日から通常の2割以下しか生産しない企業が全国に出現し、その後も段階的に企業活動が縮小していくことが明らかになった。1カ月後には東京都内で9.3兆円、その他の地域で18.5兆円の合計27.8兆円の生産減少が起き、日本のGDPが5.3%押し下げられることが分かった。

 特に東京都以外の地域への影響は封鎖期間が延びるのに従って拡大する傾向にあり、この影響は市民生活にも深刻な打撃を与えかねない。井上准教授らは政府が首都封鎖に踏み切るとすれば、新型コロナの感染防止対策とともに、積極的な財政出動を同時に進め、封鎖期間をできるだけ短くすることが求められると提言している。

論文情報:【arXiv】The propagation of the economic impact through supply chains: The case of a mega-city lockdown against the spread of COVID-19

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大学ジャーナルオンライン編集部

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