名古屋大学情報基盤センターはスーパーコンピューター「不老(フロー)」の運用を始めた。計算速度ランキングで世界一となった神戸市の理化学研究所・計算科学研究センターにある「富岳」と同型の中央演算処理装置(CPU)を搭載、医療分野の画像診断や新型コロナウイルスの新薬開発、台風のメカニズム解析、自動運転の研究など大量のデータを処理する幅広い分野で利用する。
名古屋大学によると、不老は名古屋大学と富士通の共同開発で生まれた。名古屋大学の所在地である名古屋市千種区不老町とコンピューター用語で「流れ」を意味する「フロー」から命名した。計算能力は1秒間に1京5,880回で、システム規模が小さいために富岳に及ばないが、計算速度世界ランキングで36位、国内5位に入っている。名古屋大学の従来機と比較すれば、計算速度が3~5倍上がるという。
富岳が搭載していないAI(人工知能)の研究支援システムや100年間データを保存できる記録媒体などを装備し、シミュレーションをした際に動画を大画面に映し出す設備を備えている。スーパーコンピューターで発生する熱の冷却には環境に配慮して湧水を利用する。
富岳をベースとしたスーパーコンピューターとしては世界で初めてのサービス運用で、民間を含めた国内外約1,000人の研究者がユーザー登録されている。
参考:【名古屋大学】スーパーコンピュータ「不老」運用開始 ~スーパーコンピュータ「富岳」型システムの世界初運用~(PDF)