立正大学経営学部の山本仁志教授を中心とする研究グループは、間接互恵場面における社会規範について最新の研究成果を発表した。津田塾大学総合政策学部の鈴木貴久特任助教、立正大学大学院生の梅谷凌平氏との共同研究。

 人々は、直接的な見返りが期待できない見知らぬ人間同士でも協力行動をとることができる。このような協力行動が維持されるためには「情けは人のためならず」といった諺が示すように、協力した個人へと利益が還元される仕組みが存在する必要がある。人間が善悪を判別する機能(規範)は、そうした仕組みの一つとして働いていると考えられ、どのような規範が進化し定着するのかについて数学、物理学、経済学、心理学など幅広い分野で研究がなされてきた。

 これまでの理論的な研究の予測では、協力行動が安定的に維持されるためには「悪い人を助けないことは良いことだ(正当化される非協力)」という評価ルールが必要である、とされてきた。もしこの評価ルールがなければ、非協力的な人(悪い人)に協力しなかった人は、その行動によって非協力的な人と見なされてしまい、非協力の連鎖が生じてしまうからである。

 今回、研究チームは「正当化される非協力は本当に正当化されるのか?」という疑問を中心に複数のオンライン実験を実施。人々が実際に採用している規範を分析した。その結果、これまでの理論的な予測とは異なり、人々は正当化される非協力に対しては良い・悪いの判断を避け中立的な態度をとることがわかった。他方で「悪い人を助ける(正当化されない協力)」については良いと判断していた。

 実験の結果から、山本教授は『間接互恵的場面において人々が評価を保留するという可能性をとりいれたアプローチが協力の進化に関する研究において重要になる』と指摘した。

論文情報:【PLOS ONE】Justified defection is neither justified nor unjustified in indirect reciprocity

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大学ジャーナルオンライン編集部

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