広島大学の木原康樹教授、茶山一彰教授らは理化学研究所と共同でブルガダ症候群の発症リスクを低減する遺伝子を発見しました。突然死の予防や不要な治療の抑止に役立つ可能性があるとしています。
最近の研究から心臓の発生に関わるHEY2という遺伝子の変異が、突然死のリスクを高めているのではないかと考えられています。そこで今回の研究ではブルガダ症候群の人95名と健康な人1978名を対象にHEY2遺伝子の変異の有無を調べました。その結果、ブルガダ症候群の患者では変異を起こした遺伝子を保有している率が高く、特に死に至る可能性がある不整脈が現れている人ではさらに高まることが分かりました。さらに約3年から7年にわたって患者の経過観察を行いました。その結果、これまでの予測に反して変異を起こしている人では致死性の不整脈の発症が抑えられる傾向があることが分かったのです。
この発見によってこれまでリスクを高めると考えられていた遺伝子の変異が、実は死亡リスクを低減させている可能性があることが分かりました。今後はこの成果をもとにリスク評価の方法を確立することを目指すとしています。また、突然死予防のための薬の開発にもつながる発見として期待されています。