名古屋大学大学院環境学研究科の鈴木敦命准教授は、お金の投資を模した心理ゲームを利用した実験で、高齢者が何度裏切られても外見で人を判断する傾向を持つことを突き止めました。研究成果は米老年学会誌「ジャーナル・オブ・ジェロントロジー」の電子版に掲載されました。
名古屋大学によると、調査は65歳から79歳の高齢者36人と19歳から30歳の若年者36人が対象。投資ゲームという架空の投資に取り組んでもらい、コンピューター画面に現れた16人の顔写真1人ひとりに対し、外見の印象などから持ち金を投資するかどうか決めてもらいました。16人のうち、半数は投資したお金を必ず倍返ししてくれる良い人、残りは預けたお金を横領する悪い人です。
次に投資ゲームに関する記憶テストを実施し、16人と投資ゲームに登場しなかった8人の計24人について、良い人か悪い人かゲームに登場しなかった人かを回答してもらいました。その回答結果を解析したところ、高齢者は顔の外見で良い人か悪い人かを判断する傾向が強く、投資ゲームで裏切られていても、外見での判断を優先させていました。これに対し、若年層にこの傾向は見られませんでした。
鈴木淳教授は、高齢者になればなるほど外見で人を判断しやすく、それが現実の社会で高齢者の詐欺被害を増やす要因の1つになっているとみています。