摂南大学農学部応用生物科学科の井上亮教授は、京都府立大学、日本体育大学、京都府立医科大学、栄養・病理学研究所との共同研究で、長距離ランナーの日常的な長時間・高強度の運動が腸内環境を悪化させ、腸の不調を引き起こす可能性があることを明らかにした。

 日常的に長時間・高強度の運動に取り組む長距離ランナーは運動後に下痢などの消化器症状が起こりやすく、「ランナー下痢」などと呼ばれて問題視されているが、明確なメカニズムは分かっていなかった。

 そこで、摂南大学らの研究チームは、健常女性14人及び女性長距離ランナー15人の腸内環境を比較し、日常的な長時間・高強度の運動が腸内環境へ及ぼす影響を調査した。その結果、下痢の原因となるコハク酸の便中濃度と、腸内環境によってはコハク酸を産生する菌であるフィーカリバクテリウム属細菌の比率、また、腸の炎症との関連が報告されているヘモフィルス属、ロチア属、ムシスピリラム属細菌の比率が女性長距離ランナーで高いことが示された。

 アスリートの腸内細菌叢及びその代謝物と腸の不調について更に研究が進めば、腸の不調改善などアスリートの体調管理に役立つと期待される。

論文情報:【Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition】Intensive, prolonged exercise seemingly causes gut dysbiosis in female endurance runners

京都府立大学

京都に根ざした魅力的で個性ある京都府立大学の創造に向けて、新たな飛躍を目指す。

京都府における知の拠点として、広く人文・社会・自然の諸分野にわたる真理を探究し、教育することを目指します。 豊かな知性と教養、論理的思考力と高度な専門能力を備え、社会への責任感を持ち、地域社会と国際社会の持続可能な発展に貢献できる人材を育成します。[…]

京都府立医科大学

豊かな人間性、プロフェッショナリズム、高度で専門的な知識・技能を修得

京都府立医科大学は、1872(明治5)年に設立された以来140年の歴史を持ち、古い伝統を誇る公立医学部単科大学。「世界トップレベルの医学を地域へ」を理念とし、智力・独創的創造力・人間力のシナジーを基本に、優れた医療人・医学者を継続的に育成しています。革新的な基[…]

日本体育大学

体育スポーツ学・教育学・保健医療学に拡がる学びのフィールド

1891(明治24)年の創設以来、一貫してスポーツを通してすべての人々の願いである “心身の健康” を育み、あわせて世界レベルの優秀な競技者・指導者の育成を追究。現在は、スポーツサイエンスの幅広い領域を網羅する5学部9学科/4領域/2コース/3大学院を擁し、そ[…]

摂南大学

摂南大学で“知”を極める。知的専門職業人を育成

2023年4月に現代社会学部を新設し、9学部大学院6研究科を展開。総合大学の特長を生かして、他学部・他学科の分野横断型の履修を可能にし、幅広い知識を学べる環境を整えています。また、全学的教育プログラムを導入し、地域社会や企業などの課題発見・解決に挑戦する学内外[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。