北海道大学はNTT、株式会社フジクラと共同で、1本に114の情報経路(チャネル)を多重化した世界最高密度の光ファイバーを開発した。6種類の光(モード)を同時に伝搬できる光の通り道(コア)を19個配置した。光ファイバーのガラス部分の直径を250マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下と細くすることで、従来比2倍以上に密度を向上した。ハイビジョン映画数千本の情報を1秒で転送できる、毎秒10ペタビット(ペタは1000兆倍)級の大容量伝送の実現につながる。
一般に、高密度化のために光ファイバーの直径を大きくするとガラスの脆弱(ぜいじゃく)性が増大し、光ファイバー自身が折れやすくなる。北大などは、光ファイバーの折れにくさや曲げやすさなどの信頼性を維持しながら密度を高め、20年以上使える実用性能を確保した。長さ8.85キロメートルの光ファイバーを作製し、損失が少なく高品質な伝送が可能なことを確認した。2020年代の実用化を目指す。
より多くの情報伝送を目指して、これまで1本の光ファイバーに複数のコアを配置したマルチコア光ファイバーや、一つのコアに複数のモードを導波可能なマルチモード光ファイバーなどが開発されてきた。今回、マルチコアとマルチモードを組み合わせることで、1本で100以上のチャネルを多重できる実用的な光ファイバーを開発した。