東京理科大学工学部の国村伸祐准教授と同学大学院工学研究科修士課程2年生の堀口桃菜さんが、染色に用いられたヘアカラーリング製品を毛髪1本から「その場」で識別できる手法の開発に成功した。

 犯罪現場に残された毛髪は犯人を特定するための重要な証拠資料となり得るが、毛根から抽出されるミトコンドリアDNA検査のみでは完全な個人識別が行えないなど、毛髪による個人特定には課題が残されている。一方、現代では普段から毛髪を染色する人が増え、犯罪現場で取得される毛髪も染色されたものであるケースが多くなっているため、染色に使用されたヘアカラーリング製品を識別できれば有用な捜査情報となる可能性がある。

 国村准教授の研究グループは、以前からポータブル型分析装置を用いて高感度分析を「その場」で行う、高感度オンサイト分析技術の研究を進めてきた。今回、表面増強ラマン散乱(SERS)法と蛍光X線分析(XRF)法のそれぞれのポータブル装置を組み合わせて用いることで、さまざまなヘアカラーリング製品を用いて染色した毛髪1本1本から、ヘアカラーリング製品の情報を取得して識別することを試みた。その結果、染料に含まれる成分の違いを見分けることができるSERS法と、染料に含まれる金属元素の情報を取得できるXRF法を組み合わせた分析技術により、試料に用いた5種類の市販ヘアカラーリング製品を識別できることが明らかとなった。

 本手法は、犯罪現場に残された毛髪から有用な捜査情報をその場で迅速に取得し、個人識別に貢献する技術として、科学捜査への応用が期待される。

論文情報:【Analytical Sciences】Surface-enhanced Raman Scattering and X-ray Fluorescence Analyses of a Single Hair Colored with a Hair Dye Product

大学ジャーナルオンライン編集部

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