東京理科大学の元祐昌廣准教授、山本憲助教らの研究グループは、マイクロ流路中における微細気泡の希釈機能を利用した、迅速かつ簡便な血液型判定を可能とする全血用血液型分析チップの開発に成功した。

 緊急医療現場では、輸血のための血液型(ABO式、Rh式)判定試験、交差適合試験は頻繁に行われる必須のものだが、現状では技師による作業が必要。また、試験には30分以上かかるため、緊急搬送された患者への輸血開始が遅れるケースも懸念される。医療従事者の過酷な労働環境の改善にも、迅速・簡便な血液検査技術の開発が求められている。

 近年、血液検査用にマイクロスケールの流路を持つ手のひらサイズのマイクロチップが数多く開発されているが、扱いが難しい。そこで研究グループは血液検査デバイスの全自動化・迅速化を目指し、マイクロチップで血液と希釈用のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を混合する際、血球成分に影響しない「気泡」を採用。両液に混ざり合わないものが存在すると混合が促され、効率的に溶液を希釈できるためだ。これにより希釈液の完全な均一化が得られた。

 これにより全血(分離していない血液)をデバイス中で自動的に希釈する機構を実現し、さらに最適条件・最適構造を検討して分析チップの開発に成功した。血液型判定試験では、試料注入から1分未満で希釈血液が検出部に到達し、5分程度で高感度に判定できた。

 今回開発した全血用血液型分析チップは、迅速・簡便な血液型判定試験、交差適合試験を可能とするため、緊急度の高い患者に迅速に輸血を開始できる。また、医療従事者の負担軽減やコスト削減にもつながり、医療の質の全体的な向上に寄与することが期待される。

論文情報:【Biomicrofluidics】Fully-automatic blood-typing chip exploiting bubbles for quick dilution and detection

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大学ジャーナルオンライン編集部

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