日本財団は、全国の17歳~19歳男女を対象に、「教育格差」をテーマとした18歳意識調査を2020年12月上旬に実施した。18歳意識調査は、2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられたことをきっかけに、18歳の若者が何を考え、何を思っているのか、継続して調べるため2018年10月から始まり、今回で33回目となる。

 調査によると、他の人に比べて学習環境に差があると感じている人は43.4%。その理由は、「集中して勉強できる環境が家庭になかった(32.0%)」がトップ、次いで「経済的な理由で塾や習い事に行けなかった(22.6%)」、「身近に勉強を教えてくれる人がいなかった(21.9%)」「家庭や学校のデジタル環境の整備に差があった(12.0%)」と続いた。

 コロナ禍で学習環境の差が広がったと感じるか聞くと、「感じる」が52.9%、「感じない」が47.1%。学習環境の差を感じたことがある層は、68.0%が「感じる(=コロナ禍で差が広がった)」と回答しており、もとから学習環境に差を感じていた人は、コロナ禍においてさらに広がったと感じている。コロナ禍で自身の進路へ「影響がある」と回答したのは31.5%。コロナ禍で受けた影響について、「就職希望業種の範囲を広げた(33.3%)」が最多、次いで「思ったように成績が伸びず入試方法を変更した(19.7%)」「進学先の地域を考え直した(18.7%)」と続いた。

 教育格差については、「感じる」が48.9%、「感じない」が51.1%と意見が分かれた。教育格差を感じる時について、「家庭の収入面で塾に通える、通えないなどの格差」「親の経済状態により進級を断念しないといけない友達を見たとき」など、家庭の経済状況により進学・進級を諦めたり、塾に通えないという状況に教育格差を感じるという声が多く挙がった。また、「公立と私立の施設の差」「住んでる地域(都市か地方)によって受けられる教育に差を感じる」など、公立・私立の違いや地域によって学習環境の差、授業の進度の差、教育レベルの差を感じるという意見も目立った。

 今後、教育格差は広がると思うか聞くと、「思う(51.2%)」が「思わない(9.3%)」を大きく上回る結果に。そう思う理由は「家庭の経済格差が教育にも反映される(34.2%)」が最多。次いで「国や自治体の教育予算が伸び悩んでいる(17.6%)」、「教育格差の定義がはっきりしない(14.6%)」が上位に挙がった。教育格差を是正する必要について、54.6%が「是正する必要がある」と回答。そのために必要だと思うことは、「高等教育の無償化などの制度整備(48.0%)」、次いで、「無償の学習支援拠点の整備強化(33.8%)」、「オンライン教育の強化(33.8%)」と続いた。

参考:【日本財団】18歳意識調査

大学ジャーナルオンライン編集部

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