東京工業大学は財務レポート2020を公表し、新型コロナウイルス感染対策の経緯や学費値上げによる教育環境の変化などを詳しく報告した。コロナ禍で苦しむ学生支援に全力を傾けるとともに、学費値上げが教育設備の充実や国際化の推進に効果を上げたとしている。
東京工業大学によると、新型コロナ対策では感染拡大の兆しが見えた2020年1月に警戒本部、4月に益一哉学長を本部長とする対策本部を設置し、感染防止策の推進に努めた。
さらに、6月には益学長が学生1人ひとりに語りかける形で「コロナ禍の経済的困窮で学業をあきらめる学生を出さない」、「コロナに負けない研究スタイルを再構築する」など5項目の約束を提示、実践してきた。
2019年4月以降の学士課程、2019年9月以降の大学院課程の授業料を年額53万5,800円から63万5,400円に値上げした結果、教育関係予算が2018年度の19.5億円から2019年度に2.5億円増の22億円になった。
これを生かして、国際化では英語による開講科目数を254増やした1,388科目としたほか、外国人教員数も14人増の269人にしている。教育環境面では21の講義室を改修するだけでなく、屋内運動場などの設備を更新した。
学生に対する経済支援では、授業料免除枠を拡充するとともに、大学独自の貸与型奨学金制度を創設した。同時に、給付型奨学金制度を導入し、経済的な困窮によって学業を断念する学生を出さないよう配慮したとしている。