2016 年6月17日、国際プラネタリウム協会(IPS)主催の「IPS フルドームフェスティバル2016」において、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構・大栗博司主任研究員(カリフォルニア工科大学教授)監修の3Dドーム映像作品 『9次元からきた男』 が最優秀教育作品賞を受賞した。
「IPS フルドームフェスティバル」は60カ国・約700の会員が加盟する IPSの総会として開催される、世界最大級のプラネタリウムの祭典。2016年はチェコのブルノ天文台を会場に15カ国から66のドーム映像作品が上映され、もっとも権威ある賞とされる「最優秀教育作品賞」に同作品が選ばれた。各国の名だたる科学博物館などをおさえて受賞に至った理由を国際審査委員会は「宇宙の究極の理論についての複雑で深い疑問に新しい見方を提示し、我々の好奇心を刺激した」と語った。
『9次元からきた男』は、日本科学未来館の常設展示リニューアルに合わせて制作された。監督をホラー映画界の第一人者である清水崇氏がつとめ、「物理学とは何か、物理学者は何を知ろうとしているのか」を伝えたいという思いから作られたという。謎の男「T.o.E.(トーエ)」と彼を追う科学者たちのストーリーを通して、「自然界の基本法則を見つけ、この宇宙がどうやって始まったのかを解明する」ことを追い求める科学者の姿を伝えるものとなっている。
受賞に関して、大栗主任研究員は「日本の科学アウトリーチが世界的水準にあることを示すもの。科学の内容を正しく、かつ楽しめる内容で伝えたいという私たちの努力が認められたものと思っている。この作品によって日本の若い人たちに科学の素晴らしさが伝えられ、国民の科学リテラシーの向上に貢献できれば」とコメントしている。
作品は日本科学未来館(東京都江東区)ドームシアターガイアにて公開中。