芝浦工業大学の細矢直基教授(工学部機械機能工学科)の研究グループが、北海道大学大学院の梶原逸朗教授との共同研究において、柔らかい果物の硬さを非接触・非破壊で評価する方法を開発。レーザー誘起プラズマによる衝撃波(LIP衝撃波)で果皮に発生させた「レイリー波」の伝播速度で硬さ評価を可能にした。
果物の成熟度は硬さとの相関性があり、色や香りが変化しないような果物には機械的な手法が有効とされている。機械的な評価手法においては、果物の成熟度はハンマーや加振器などの接触式装置が利用され、果物の揺れ方(振動応答)に基づいてその硬さを評価する。
従来は、果物の赤道上において0S2モード(フットーボール様に膨張伸縮する揺れ方)振動数を計測することで、硬さを評価する手法が硬い果物に適用されてきた。研究チームの以前の研究では、果物の損傷を防ぐために0S2モード振動をLIP衝撃波で発生させることで、りんごの硬さの非接触計測を可能にした。しかし、マンゴーのような柔らかい果物は0S2モード振動が励起されないことがあるため、計測対象としてレイリー波(表面波の1種)を検討し、硬さとの相関性の検証を行った。
実験では、ケント種のマンゴー20個をサンプルとして、LIP衝撃波により生成されたレイリー波をレーザードップラー振動計で非接触計測した。マンゴーの貯蔵日数が長くなるに従い、レイリー波の波動伝播速度が低下することを実験的に明らかにした。これにより、LIP衝撃波で果皮にレイリー波を発生させ、その伝播速度を観察することで、非接触非破壊で硬さを評価することが可能となった。