18歳人口減少による受験生減で大学入学共通テストが毎年、10数億円の赤字を生む見通しであることが、大学入試センターの有識者会議の試算で分かった。有識者会議は財政課題を解決しなければ、やがて実施困難になりかねないと警鐘を鳴らしている。

 有識者会議によると、大学入試センターは国の運営費交付金を受けておらず、大学入学共通テストの運営費用は受験生の検定料(2教科以下が1万2,000円、3教科以上が1万8,000円)や各大学に送付する成績の提供手数料に依存し、このうち約9割を検定料が占めている。

 しかし、18歳人口の急激な減少で検定料収入が落ち込み続けている。1月の大学入学共通テスト志願者は約54万人。3年前に比べて約1割少なくなっている。しかも、18歳人口の減少は今後も続く見込み。

 手数料は文部科学省令で決められるため、収支に合わせて値上げすることができない。大学入試センターの経費節約はすでに限界に達している。このままだと毎年、10数億円の赤字が予想され、有識者会議は実施が困難になる可能性があるとしている。

 大学入試センターは当面の策として成績提供手数料を引き上げる考えだが、有識者会議は国に公的支援を求めるとともに、2005年度から据え置かれたままの検定料が妥当かどうか、あらためて検討する必要があると提言している。

参考:【大学入試センター】運営審議会将来構想ワーキングチーム議論のまとめ

大学ジャーナルオンライン編集部

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