テレワークの利用率は2020年6月以降、ほぼ同水準で推移しているものの、就業者の多くが2021年末のコロナ禍について悲観的に予測していることが、慶應義塾大学経済学部の大久保敏弘教授とNIRA総合研究開発機構のテレワーク実態調査で明らかになった。
慶應義塾大学によると、調査は2020年4月から1万人を超す全国の就業者を対象に継続的に実施しているもので、今回は2021年4月に行った第4回目。
テレワーク実施者は全体の16%。新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月の6%から最初の緊急事態宣言が出た2020年4~5月に25%まで上昇したが、その後は9月17%、12月16%とほぼ横ばいで推移している。
今回もその傾向が続いているわけで、政府はテレワークの拡大を呼び掛けているものの、頭打ち状態のままであることがあらためて浮き彫りになった。年収800万円以上の層ではテレワーク実施率が30%を超えているのに対し、年収300万円未満の層では10%に及ばず、所得階層によって大きな開きが出ていることも分かった。
就業者に2021年末のコロナ禍の状況を予想してもらったところ、ワクチン接種の進展を除いて悲観的な声が多く、感染状況や経済状況が悪化していると答えた人は40~50%に達した。ただ、ワクチン接種の状況についても50%は「変化なし」と予測しており、政府の対応を疑問視する声が広がっていることもうかがえた。