兵庫教育大学大学院(兵庫県加東市)学校教育研究科の小倉拓郎准教授を中心とする、立命館大学、金沢大学、岡山大学、東京大学、福岡教育大学、東北大学、筑波大学の研究グループは、令和6年能登半島地震で変化した地形の高精細3Dデータを取得し、基礎研究への応用を想定したアーカイブや地理・地学教育に活用できる教材を公開した。
研究グループは、令和6年能登半島地震で隆起・変形した海岸地形を主な対象として、ドローンを用いた詳細な地形計測を行い、地理教育や地学教育・防災教育等に資するデジタル3Dモデル、全天球パノラマ画像、3Dプリント用データなどの教材を作成し、ウェブで無料公開している。一部地域では基礎研究や災害復興の基礎データとするため反復観測も実施している。
これらの教材は、2024年11月に石川県輪島市の小学校教員を対象とした研修教材として用いられ、現地教員の環境・防災学習の支援や教材の活用可能性の整備にも役立てられた。
得られた3Dデータや作成教材は、2024年10月から2025年2月まで兵庫教育大学教材文化資料館(兵庫県加東市)で公開され、観覧者は実際に地震で隆起した海岸線の3D模型などを閲覧した。データの外部提供については要請があれば条件付きで対応している。
令和6年能登半島地震は2024年元日に発生し、マグニチュード7.6を記録、輪島市や石川県志賀町で震度7を観測。これにより直接死・災害関連死を含め636人が命を落とした。
研究グループは今回の高精細な3Dデータについて、研究者だけでなく広く社会で活用されることで、基礎研究の発展や地域復興の土台になると考えている。また、作成した教材は地理や地学をはじめ、教育やアウトリーチ活動の現場において、被災地の現状を正しく理解するための有効なツールにもなり得るとしている。