国立大学協会が科学技術・学術審議会学術分科会の第83回研究環境基盤部会のヒアリングを開催(11月24日)。大学の機能強化支援のための大学共同利用機関と大学との連携の在り方について、全体の制度設計に加え課題と取り組みについて意見表明した。
大学共同利用機関は「国公私立全ての大学の共同利用の研究所」(文部科学省)。全国の研究者に共同利用・共同研究の場を提供し、個別の大学では難しい研究への取り組みと新理念の創出に関わる中核拠点。現在、国立天文台や素粒子原子核研究所など文化、自然科学、エネルギー、情報にまたがる19の施設・研究所がある。
今回の提言では、ノーベル賞レベルの高水準の研究力の維持強化には大型プロジェクトの推進が急務とし、個人の研究を飛躍させる体制と大学の枠を超えた国レベルの研究展開が重要と指摘。そのため、現在の大学共同利用機関の組織構造や設置状況を時代に沿った構造に変え、同時に国立大学と同機関とを組み合わせた大学システム全体の設計が必要という。
それに伴い、大学共同利用機関の抱える課題と取り組みを指摘している。まず、各大学に対する情報発信力が弱く、データ公開や研究成果の権利取扱い、共同研究や設備利用に関する採択要件の明確化などの周知活動とシステム構築を求めている。人材育成に関しては、国内外の研究機関とのネットワークを活用して研究の活性化と人材の流動性向上を図る必要があるとする。財政面では、運営費交付金が削減されるなか、新たな仕組み構築による財源の多様化、さらに文部科学省には各関係局の枠を越えた予算の最適化を求めている。