麻布大学の生命・環境科学部 環境科学科は、2021年12月16日~20日、島根県美郷町にある麻布大学フィールドワークセンターを拠点に野生動物に関する実習を行った。
鳥獣害対策と住民の取り組みで日本をリードする鳥獣害対策版シリコンバレー「美郷バレー構想」を掲げる島根県美郷町は、産官学民が自発的に集い、地域活性化に取り組んでいる。麻布大学は美郷町の「おおち山くじら研究所」とともに美郷バレー構想の連携の中核を担っており、2021年4月、麻布大学フィールドワークセンターを開設した。
今回、フィールドワークセンターを拠点に実習を行ったのは学部学生12名、大学院学生2名。環境科学科の授業科目「生物多様性フィールドワーク演習」において、生命・環境科学部の新田 梢特任助教のコーディネートにより5日間かけて美郷町の様々な取り組みやフィールドワークの基礎を学んだ。
実習では食肉解体処理施設で捕獲されたイノシシの屠殺個体が食肉となる過程や、イノシシ肉の缶詰加工を視察。鳥獣害対策を実施している農家でイノシシやサルから農地を守るための対策や、婦人会によるイノシシの皮を活用した革製品の製作など説明を受けた。
フィールドワークでは、動物の痕跡を探してセンサーカメラ(赤外線自動撮影装置)を設置・回収して行動と調査法を学習。また、野生動物の餌場や潜み場所となっていた茂みと放任果樹を伐採し地元の子どもたちのスペースとなった「林間学校」と呼ばれる場所で、総合的な鳥獣害対策における環境管理について学んだり、植物調査を実施し、前日の植物調査結果と比較した。
学生たちは様々な実習を通して野生動物の性質を生かした対策の実践について学び、美郷町の自然と人とのつながりの重要性について実感した。麻布大学は今後も、地域と連携し、フィールドワークセンターを教育・研究に活用していく。