東北大学大学院の小原拓准教授(薬学)と西郡秀和准教授(産科学)らのグループは、日本全国の約10万人の妊婦を対象とし、妊婦における薬使用の実態を調査。妊娠前・妊娠中の半数以上が医薬品・サプリメントを使用していることが明らかとなった。
妊娠中の医薬品・サプリメント使用の実態およびその安全性に関する情報は非常に少なく、特に日本では評価基盤が存在しなかったために海外のエビデンスやデータに頼っていた。
今回、グループは、環境省「環境と子どもの健康に関する全国調査(エコチル調査)」に参加した妊婦97,464人における妊娠前・妊娠中の医薬品・サプリメント使用の実態を調査した。
その結果、医薬品・サプリメントを使用した妊婦の割合は、妊娠前1年間では78.4%、妊娠判明後から妊娠12週までの間では57.1%、妊娠12週以降は68.8%だった。使用品の内容として、妊娠前1年間では、「市販されている解熱・鎮痛・感冒薬」の使用が最も多く(34.7%)、次いで「病院で処方された解熱・鎮痛・感冒薬」(29.8%)、「全ての抗菌薬」(14.0%)の順に多かった。
妊娠判明後から妊娠12週までの間では、「葉酸サプリメント」の使用が最も多く(28.9%)、次いで「病院で処方された解熱・鎮痛・感冒薬」(7.8%)、漢方薬(6.0%)の順。妊娠12週以降では、「葉酸サプリメント」の使用が最も多い(26.2%)。次いで「子宮弛緩薬」(15.2%)、「病院で処方された解熱・鎮痛・感冒薬」(13.3%)の順に多かった。
今後は、妊娠中の医薬品・サプリメント使用が新生児にもたらす影響について、研究が進むことが期待される。
論文情報:【Pharmacy】Drug Use before and during Pregnancy in Japan: The Japan Environment and
Children’s Study