京都大学大学院教育学研究科の西川一二研究員、楠見孝教授がベネッセコーポレーションとの共同研究で、高校生の性格にある関心の一貫性と根気が大学受験模試の得点推移に与える影響を調べたところ、根気の強い生徒ほど得点水準が高く、3年間に得点が伸びていることが分かった。

 京都大学によると、研究グループは国内のトップ進学校6校の高校生1,403人の性格と大学受験模試の得点を3年間にわたって追跡調査し、結果を解析した。

 その結果、根気の強い生徒は基本的に得点水準が高く、3年間に得点が少し向上していることが明らかになった。これに対し、関心の一貫性は得点水準や得点の変化に関連を見つけることができなかった。

 やりぬく力と訳されるグリットという言葉が教育界で注目されるようになっている。グリットは関心の一貫性と根気という2つの側面を持ち、グリットの高い生徒が高い学業成績を示すことが分かっているが、2つの側面がそれにどう関係しているのかは解明されていなかった。

 研究グループは調査結果から根気の強さが学業成績の向上に大切なことがあらためて分かったとしているが、「グリットが高ければいい」と一概にいえない側面も見えてきたとみている。

論文情報:【Personality and Individual Differences】The effect of two aspects of grit on developmental change in high school students’ academic performance: Findings from a five-wave longitudinal study over the course of three years

京都大学

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