畿央大学大学院の乾康浩氏(博士後期課程)と森岡周教授らは、障害者支援施設における運動への動機づけに関係する要因について検証した結果、従来から重要視されていた運動機能や自己効力感よりも、ソーシャルサポートが動機づけに関連することを明らかにした。
障害者支援施設では、社会参加を実現するために身体機能の維持・向上を目的として運動に取り組む必要がある。しかし、入所が18ヵ月以上と長期に及ぶ場合もあり、動機づけを維持する必要がある。動機づけには個人的要因とソーシャルサポートが関連するとされ、さらに、自らの意思と判断で行う自律的動機づけと外部からの誘因によって生じる統制的動機づけに分類され、両方から評価する必要がある。
そこで、研究グループは障害者支援施設入所者を対象として、運動への動機づけを、質問紙を用いて自律的動機づけと統制的動機づけに分類して評価した。また、施設入所者の個人的因子(運動能力、自己効力感)とソーシャルサポート(家族サポート、施設サポート、ピア(仲間同士の)サポート)を質問紙にて評価し、自律的動機づけと統制的動機づけを予測する因子を分析した。
その結果、自律的動機づけには家族サポートと施設サポートが関連し、統制的動機づけは家族サポートが低い場合にピアサポートが関連する結果となり、いずれも個人的要因との関連は見られなかった。
今回、障害者支援施設入所者では、家族や施設スタッフとの関係、入所者同士の関わり方を調整し把握することが、運動への取り組みの促進には必要であることが示された。今後は、施設入所後の縦断的な変化について検証する必要があるとしている。