国際協力機構(JICA)のウクライナ避難民支援調査団長としてウクライナの隣国モルドバを訪れていた広島大学大学院医学系研究科の久保達彦教授が広島市南区の広島大学霞キャンパスで記者会見し、医療機器不足や薬品調達の混乱があるとして継続的な支援が必要と訴えた。
広島大学によると、久保教授はウクライナ避難民支援調査団長として合計6人のメンバーで3月19日からモルドバの危機管理、医療体制などを調査し、4月10日に帰国した。
モルドバはウクライナの南側にある内陸の旧ソ連構成国で、旧ソ連の崩壊に伴って1991年に独立した。人口は約260万人だが、ロシアの軍事侵攻で避難したウクライナ国民約40万人が逃げ込み、うち9万人程度がモルドバ国内で避難生活を送っている。久保教授はモルドバの医療施設で避難民の大量流入から患者が増え、医療機器の不足や薬品調達の混乱が起きていることを報告した。
今後、さらにロシアの軍事侵攻が続き、戦況が悪化すれば、より多くの避難民がウクライナから流入することが想定できるとし、「広島から戦争に反対する立場を一貫して訴え続けることが重要。これからも現地への関心を持ち続けてほしい」と継続的な支援の必要性を強調した。