京都大学防災研究所と熊本県人吉市の災害拠点病院・人吉医療センター、ゼネコンの清水建設は、災害拠点病院を洪水被害から守る水害対策タイムライン防災計画を策定した。2020年の球磨川氾濫で人吉医療センターが被害を受け、災害対応に十分な力を発揮できなかったためで、人吉医療センターで防災訓練を実施して有効性を検証した。
京都大学によると、水害対策タイムライン防災計画は洪水注意報の発令から氾濫発生情報の発令、復旧までを7段階に分け、各段階で病院職員の招集、防水板の設置、患者対応など各部署の水害対策業務が想定時間内に可能で救急患者受け入れに支障がないかどうかを検討して対応を設定した。
洪水予測については気象庁や民間気象会社などの公開情報だけでなく、京都大学が内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムで開発した洪水予測新モデルのデータを活用し、より正確な予測値に基づいて対応を進める。
球磨川氾濫のあと、人吉医療センターは防災計画の見直しや自動扉の防水対策、防水板の設置研修などを進めてきたが、重要医療機器の電子基板が床上10センチ程度の低い場所にあり、防水板設置後に患者受け入れをどうするのかなど多くの課題が残っていることが明らかになっている。
このため、人吉医療センターで全組織156人を集めて計画に基づく防災訓練を実施した。訓練の結果を分析して必要であれば防災計画に盛り込むことにしている。