文部科学省は平成29年度の「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」採択拠点を発表。東京大学のニューロインテリジェンス国際研究機構と金沢大学のナノ生命科学研究所の2件が採択された。
文部科学省は2007年度より、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)を推進。高いレベルの研究者を中核とした世界トップレベルの研究拠点形成を目指す構想に集中的な支援を行う。システム改革の導入等の自主的な取組を促し、第一線の研究者を世界から多数集め、優れた研究環境と高い研究水準を誇る「目に見える研究拠点」の構築を目指している。
今回は2017年2月に公募開始、4月4日までに15機関の応募を受け付けた。その後、同プログラム委員会が審査を行い、東京大学と金沢大学の採択に至った。
東京大学は、生命科学と情報科学をつなぐ新学問分野「Neurointelligence」の創成を目指す。「ヒトの知性の本質の理解」、「脳神経回路の障害の克服」、「新たなAIの開発」を通じて、未来社会に貢献するとしている。3分野のシナジーを狙った野心的プロジェクトであり、科学的インパクトが大きいと評価された。
金沢大学は、世界最先端のバイオSPM(走査型プローブ顕微鏡)技術と超分子化学技術を融合・発展させ、細胞内のナノ動態を直接観察・分析・操作できる「ナノ内視鏡技術」を開発する。さらに、がん細胞による機能異常の原因をナノレベルで解明するとしている。バイオSPM技術とがん研究という金沢大学の強みを生かし、生命科学に大きな発展が期待されると評価された。
各拠点には毎年最高7億円が10年間支援される。世界最高水準の研究、国際的な研究環境の実現、研究組織の改革、融合領域の創出の達成が求められる。