京都府立大学はダチョウの卵を利用して、免疫に関わる抗体を大量に生産する方法を開発しました。哺乳類を含む脊椎動物は共通の免疫システムを持っており、毒素やウィルスなどの異物が体内に侵入すると、相手の特徴を学習して外敵への攻撃を始めます。このときに武器となる物質が抗体です。MERSの流行が日本でも大きなニュースになりましたが、新種の病原体の出現は人類にとって大きな脅威となります。ダチョウの抗体を利用して人間をこうした感染症を防ぐことができるかもしれません。
体が一度病原体を学習してしまえば、二回目以降の侵入に対しては非常に素早い攻撃を仕掛けることができます。しかし学習には時間がかかり、初めて感染した場合は体が攻撃を受けてしまいます。人間がこうしたリスクを負うのを避けるために古くから他の動物が作った抗体が利用されてきました。例えば毒蛇に噛まれたときの治療には、あらかじめ馬に作らせた抗体を使います。京都府立大学の塚本康浩教授のグループで抗体を作らせる動物に選ばれたのがダチョウです。ウィルスを注射されたダチョウはその抗体を獲得しますが、卵の黄身にも抗体が含まれます。それを抽出して利用するのです。ダチョウはエサが安く低いコストで飼育できる他、体が大きいため一度に大量の抗体を生産できるというメリットがあります。また、哺乳類とは遺伝子が大きく異なるダチョウなら、人間には作れない抗体も作れるのではないかと期待されています。
ダチョウの抗体は2015年5月時点では医薬品として認可されていないため人体に投与することはできませんが、新種のウィルスに対する強力な対抗手段になるでしょう。また抗体は動物の体内でなくても、ウィルスを捕まえることさえできればどこでもその力を発揮します。抗体を含むスプレーをドアノブや手などのウィルスが付着しやすい場所に吹き付けることで感染の予防にもなります。
ダチョウの抗体は2015年5月時点では医薬品として認可されていないため人体に投与することはできませんが、新種のウィルスに対する強力な対抗手段になるでしょう。また抗体は動物の体内でなくても、ウィルスを捕まえることさえできればどこでもその力を発揮します。抗体を含むスプレーをドアノブや手などのウィルスが付着しやすい場所に吹き付けることで感染の予防にもなります。