近年、急速に普及が進んでいるクラウドサービス。従来は利用者が自らのコンピュータで管理、利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で提供するサービスです。クラウドサービスには業務の効率化やコストダウンなどさまざまなメリットがあり、大企業から中小企業まで、さまざまなビジネスシーンで活用されています。しかしその手軽さゆえに、IT部門による管理、統制を受けずに利用部門ごとに勝手に導入され、他部門との連携がはかれずに結果的に企業全体の運用負荷やコストの増大などのリスクを招くことが問題視されています。さらには、クラウドサービスを利用する企業側のビジネスも日々変化しており、変化するビジネスニーズに追随し、サービスレベルやコスト、セキュリティポリシーなど、多くの目的を同時に満たし、継続的に構成する「クラウド最適化」が求められています。
北海道大学情報基盤センター棟朝雅晴教授と北見工業大学情報処理センター三浦克宜講師、SCSK株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:大澤 善雄、以下SCSK)は、「インタークラウドにおける多目的最適化手法を用いた、ITサービスの継続的最適配置」に関する産学共同研究を2015年9月より開始することを発表しました。インタークラウドとは、商用サービスとしてのパブリッククラウドと企業などが自社用に構築するプライベートクラウドを束ねて連携させることを指しています。
北大の棟朝研究室では、「遺伝的アルゴリズムを活用したITシステムの多目的資源割当最適化」、「インタークラウドにおける抽象的システム構成記述とブローキング方法の検討」といった研究を北見工業大と実施しています。今回の共同研究では、北大と北見工業大が行うこれらの学術的な研究と、ハイブリッドクラウド制御ソフトや多くのクラウドサービスの開発・提供実績を持つSCSKの知見を組み合わせることで、クラウドサービスの「継続的最適化サービス」の実用化を目指しています。