東北大学大学院医学系研究科眼科学分野の中澤徹教授、西口康二准教授、志賀由己浩医師らのグループは、緑内障患者における遺伝要因と臨床的特徴の関係を明らかにした。
緑内障は、視神経が障害を受けることで視野が狭くなる眼疾患で、日本での失明原因第一位となっている。どのように緑内障が発症するかは明らかでない点が多いものの、そのリスク要因の一つとして遺伝的な要因が挙げられている。しかし、日本人緑内障患者の遺伝要因の大部分は解明されていなかった。
本研究グループは、緑内障患者の遺伝要因を探るため、東北メディカル・メガバンク機構の成果に基づいて作られた日本人の遺伝解析ツールである「ジャポニカアレイ」を用いて、565人の緑内障患者と1,104人の健常者の遺伝情報を解析した。その結果、欧米において緑内障との関連が報告されている3つの遺伝子領域について、日本人緑内障患者でも強い相関が見られた。そこで、新たに607人の緑内障患者と455人の健常者を解析した結果、これら3つの遺伝子領域が緑内障に関与していることを再確認できたという。
加えて、これら3つの遺伝子領域が、それぞれ異なる臨床的特徴に関連していることも明らかになった。1つ目の遺伝子領域では眼圧と血流、2つ目の遺伝子領域では網膜神経線維層の厚さと血流、3つ目の遺伝子領域では視神経乳頭の形状と視野について相関が見られたという。
この成果は今後、緑内障の病態解明と個別化医療の一助となる可能性が期待されている。