山形大学では、広く一般に普及しているインクジェットプリンター技術を新しいモノづくりに応用するインクジェット開発センターを設立した。
インクジェット技術とは、ヘッド・インク・プロセス・プリンターからなる技術のこと。欧米では、大学にインクジェット技術分野のオープンイノベーション※の拠点があり、企業間・産学間の連携で、新製品・新用途開発・新産業を生み出している。一方、日本では、企業では社内技術としてクローズに保有し、大学にもオープンイノベーションの拠点がない。そのため、企業間・産学間での連携もなく、インクジェット技術の新製品化・新産業化が大幅に遅れているのが現状となっている。
そこで、すでにフレキシブル基板技術分野等でオープンイノベーションを展開し成果を挙げている山形大学は、インクジェット分野においても展開するため、インクジェット研究開発拠点「インクジェット開発センター」を設立。新産業を先導し、地域のインクジェット印刷関連で地元にも貢献する役割を担う。
インクジェットは、直径が髪の毛の太さの数分の一という微小な液滴を噴射し、あらゆるものの表面に微細なパターンを自由に描くことができる。高速デジタル印刷、電子デバイス製造、3次元造形、さらには生きた細胞を使った生体組織の構造体作成など、新しい応用の可能性は無限だ。
山形大学インクジェット開発センターでは、国内のヘッドメーカー・インクメーカー・プロセスメーカー・プリンターメーカーのインクジェット関連企業を組織の枠を超えて結集させ、大型産学連携を図る(現時点での参画予定企業は約20社)。今後は、新規インクジェット応用の為の基盤技術開発、インクジェット技術の理論化・体系化を図り新用途の開拓や新規事業の創出に取り組むほか、海外オープンイノベーション機関と連携し、学生の実践的教育も行っていく。
※オープンイノベーションとは、新技術・新製品の研究開発に際して、組織の枠を超えて、広く知識・技術の結集を図ること。