麻布大学獣医学部獣医学科の高木哲教授の研究グループはあまた株式会社、株式会社EDUWARD Pressと共同で、獣医療トレーニング用VRソフトウェア「VETS VR」を開発した。最新のVR技術を使い、アニマルウェルフェアと獣医師のスキルアップを両立する教材となっている。
動物を使った実習は、動物にとって命がけになってしまうことも多く、1人が何回もできるわけではないため、疑似教材の可能性を検討していた。しかしこれまでの教材は、臨場感はあっても自分で考え選択するといった主導性がなく「自分で体感できるようなもの」が望まれていた。
そこで麻布大学は、動物実習の疑似教育において先駆者で知られる高木教授の研究グループを中心に、最新のVR技術を持つあまた、教材開発のノウハウを有するEDUWARD Pressとともに、文部科学省より「デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する高度専門人材育成事業」の助成を受け獣医療業界で初めてVR技術を駆使したトレーニング用VRソフトウェア「VETS VR」を開発した。
「VETS VR」を導入することで、実習対象となる動物の大幅な負担軽減を可能にするとともに、VRヘッドセットを使用した高画質バーチャル空間内において「手技」「手順」について実際に手技や手順を覚えることができる。全身麻酔などを実際の動物で行うのは学生や新人獣医師にとってはかなりストレスであるため、そのフラストレーションを下げ、落ち着いて行動することができるというメリットもあるという。
今回リリースした教材プログラムは「犬の気管挿管編」。気管挿管は必要物品や挿管までの手順が多い手技であるため、VR教材に適している。日本小動物外科専門医のきめ細かな監修により、必要な器具の選択から麻酔導入、気管挿管までをVRで忠実に再現しており、反復学習により手技の流れに関する理解度と技術力の向上を図ることができる。