日本でTOEIC® Programを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、日本の英語学習者の多くが中学・高校の英語教科書で学んだ経験があることから、教科書で身に付く英語力を構成する概念の一つとして語彙に注目し、筑波大学卯城祐司教授、筑波大学大学院小室竜也氏に分析協力を依頼した。
IIBCが筑波大学卯城祐司教授らに依頼した調査では、TOEIC Listening&Reading Test(TOEIC L&R)とTOEIC Bridge Listening & Reading Tests(TOEIC Bridge L&R)で使用されている語彙が、新課程の中高英語教科書や共通テストで使用されている語彙とどの程度対応しているのかなどについて調べた。
調査の結果、中高英語教科書※で学習する語彙が初中級者向けのTOEIC Bridge L&Rで使用されている語彙のカバー率は約91%。同様の基準で、TOEIC L&Rで使用されている語彙においては約71%をカバーしていた。
「TOEIC」と聞くと「ビジネスパーソン向けのテスト」というイメージが先行し、ビジネス特有の語彙が多いのではと思いがちだが、今回の調査で頻出する語彙の傾向を見た結果、一般的な会話などで用いられる語彙がTOEIC L&R、 TOEIC Bridge L&Rにも多く含まれていることが明らかになった。またTOEIC L&R、TOEIC Bridge L&Rのどちらも多くの連語や定型表現が用いられているテストであるということも判明した。
以上のことから、TOEIC L&R、TOEIC Bridge L&Rの受験に向けて学習することは、基本語彙に遭遇する頻度を高められるうえに、日常で使われる定型表現に触れる機会を増やすこともできるため、ビジネス向けのみならず英語力向上に役立つと考えられる。
今回の調査で使用した中高英語教科書は、各教科書の間で共通した語彙を使用しているわけではなく、教科書によって扱われているトピックがバラバラであるにもかかわらず、英語初中級者を対象にしているTOEIC Bridge L&Rの語彙カバー率は非常に高い値だった。このことから、TOEIC Bridge L&Rは、ビジネスパーソンだけでなく、中高生を含めた幅広い層を受験対象にしていると言える。今後、新学習指導要領に基づいて高校2年、高校3年の教科書が改訂されることにより、カバー率は更に高くなる可能性があると推測される。
※中高英語教科書は、令和4年度の新学習指導要領に基づく検定教科書(中学4社、高校2社)。高2高3は旧学習指導要領に基づく。
参考:【国際ビジネスコミュニケーション協会】TOEIC Bridge® Listening & Reading Testsで使用される語彙は中高英語教科書の学習語彙で約91%をカバー