精密機器の島津製作所と北海道江別市、北海道情報大学、農業・食品産業技術総合研究所、セルフケアフード協議会は最大1,200人の江別市民を対象に健康状態や生活習慣の情報をデータベース化し、食と認知情報の関係を10年間にわたって追跡調査する共同コホート研究「江別いきいき未来スタディ」を始めた。
島津製作所によると、調査対象者は2023年4月時点で55歳以上75歳以下の江別市民。最大1,200人に対し、10年間にわたって年1回の認知機能検査や身体測定、食や生活習慣に対するアンケート調査をする。
その結果を基に島津製作所が軽度認知障害の血液バイオマーカー、農業・食品産業技術総合研究所が認知機能を維持する栄養機能性成分を探り、セルフケアフード協議会が認知機能維持に有効な食品開発を支援する。北海道情報大学はモーションキャプチャーを使った歩行動作評価など身体検査データの解析で調査を後押しする。
5者は6月、軽度認知障害の発症リスク低減と予防する社会システムの構築を目指して包括連携協定を結んだ。認知症基本法が6月に成立したことも踏まえ、共同コホート調査で国内初の大規模調査に入った。
認知症の約6割を占めるアルツハイマー病では、発症の約20年前から原因物質であるアミロイドβの蓄積が始まるとされ、軽度認知障害の段階で適切な対応をすることが発症や重症化予防に効果があると考えられている。