東京医科歯科大学の研究グループは、透析期腎不全患者のみならず、透析導入となっていない時期の慢性腎不全患者においてもBMI高値が予後良好となり得る可能性を示した。
血液透析患者では、BMI(肥満度を表すボディマス指数)が高いほうが生命予後良好と関連する「肥満パラドックス」と呼ばれる現象が近年、注目されている。しかし、保存期(透析未導入)の慢性腎臓病(CKD)患者における至適BMIについては未だ画一的な基準が存在しない。
そこで、今回同研究グループは、国内の大規模データベースであるDPCデータを用いて、緊急入院となった約2万6千人の透析導入となっていないCKD患者を抽出し、感染症合併の有無、糖尿病合併の有無で層別化を行い、各群におけるBMIと院内死亡率の関連を検証した。その結果、炎症性疾患合併の有無に関わらず、痩身は死亡リスクを増大させることが分かった。逆に、BMIが高ければ高いほど、入院中の予後が良好となる傾向があった。また、糖尿病を合併する感染症非合併群においては、肥満による生命予後に対するメリットは減弱した。
さらに、糖尿病非合併のCKD患者においては、感染症合併の有無に関わらず、高体重が短期予後良好と関連する傾向が認められた。今後、CKD患者において、十分なカロリー摂取と体重維持がより重要視される可能性が示唆された。
本成果は、CKD患者におけるより適切な栄養管理の進歩へと寄与する可能性がある。