大阪大学大学院工学研究科の宇山浩教授らの研究グループが綿とポリエステルの混紡繊維をわずか数分で分離し、リサイクルする新技術を開発した。綿とポリエステルの混紡繊維が大量に排出されるアパレル系廃棄物の半分を占めるだけに、ごみ削減や環境負荷軽減に向け、新技術活用が期待される。
大阪大学によると、宇山教授らは電子レンジと同じ原理のマイクロ波で混紡繊維を加熱することにより、綿をそのまま取り出して回収するとともに、ポリエステルからペットボトルなどの原料となるポリエチレンテレフタレートの前駆体であるテレフタル酸ビスヒドロキシエチルを高純度で回収することに成功した。
アパレル産業は衣料品の大量廃棄を生み出すことから、石油に次ぐ第2位の環境汚染産業と批判されることがあり、特にファストファッション業界がそのシンボルとされている。環境省によると、2022年でごみに出された衣料品年間約47万トンのうち、95%が焼却または埋め立て処分され、リサイクル方法の確立が課題になっている。
綿とポリエステルの混紡繊維は衣料品の半分を占めるが、従来の技術では綿とポリエステルの分離ができず、再資源化できなかった。宇山教授はこの技術の社会実装に産学連携でいくつかのプロセス開発が必要になるとしているが、技術自体が簡便で高効率であるため、実用性が高いとみている。
参考:【大阪大学】\アパレル界のリサイクルに革命を!/ 混紡繊維を分別・リサイクルする新技術 綿とポリエステルをマイクロ波で速やかに分別