東京大学医学部附属病院脳神経外科の研究グループは、ヒトの頭部の解剖学的構造を精巧に再現した3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)モデルを開発し、その無償提供を開始したことを発表した。
この3DCGモデルは、ヒトや実験動物の代替となる精巧な人体モデル「バイオニックヒューマノイド」の開発を目指す内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の中で開発されたもので、バイオニックヒューマノイドの“設計図”としての役割を担う。実際の人体の解剖初見や教科書を参考にして、最先端のCG技術と脳神経外科医の知見を集約し、市場に流通する人体形状データや医用画像には描写されないような脳実質内の神経線維、硬膜、微小血管まで精密に再現して作成された。
世界で最も精巧な頭部3DCGモデルだといい、1,000以上にもおよぶパーツの中から必要なパーツだけをダウンロードすることもできる。非商用で、かつ研究もしくは教育用途であれば、全てのパーツが自由に使用でき、編集・加工も自由。3Dプリントにも対応しており、そのまま3Dプリンターで造形することもできる。
人体の高精細な3DCGモデルは、高度なCG技術と医学的知識、そして高い開発費を要するため、その開発や入手は困難だった。今回開発した頭部3DCGモデルは、いくつもの研究機関で開発に利用されるなど、高い拡張性を有しているといい、無償提供により社会へ広く還元されることで、医学的知識の普及、医学教育や研究開発の促進、ひいては医療の質向上が見込まれるとしている。