東京大学大学院工学系研究科の樋野公宏准教授らが2016年のゲーム「ポケモンGO」発売前後の中高年の歩数を調べたところ、ポケモンGOで遊ぶ人はそうでない人に比べ、最大の月で1日平均583歩も多く歩いていたことが分かった。年代別では55~64歳の人の歩数が目立った。
調査は、横浜市が開く「よこはまウォーキングポイント事業」の参加者に無作為で送付したアンケートに回答した40歳以上。ポケモンGO発売直前の2016年6月、発売後の2016年8月から2017年3月、2017年5月段階のゲーム利用者46人(平均年齢56.6歳)と非利用者184人(平均年齢57.3歳)の歩数を比較した。
それによると、発売前の2016年6月には利用者、非利用者とも1日平均の歩数が8,000歩台で大きな差が見られなかったが、非利用者が8月以降、7,000~8,000歩台で推移し、冬季に入ると歩数が減少する傾向が見られたのに対し、利用者は8,000~1万歩の間で推移し、冬になっても歩数に低下傾向が見られなかった。
1日平均の歩数の差は2016年12月で583歩に達したのをはじめ、2016年9月を除くすべての月で利用者の方がよく歩いていた。
研究グループはこうしたデータが地方自治体の健康づくり施策立案や新たなゲームアプリの開発に大いに役立つとみており、引き続き横浜市と協力し、都市部での歩行促進に向けた研究を進める。