京都府立医科大学と日本意思決定支援推進機構は、認知症患者の意思決定能力評価を確立するため、共同で遺言能力のチェックリストを開発した。認知症患者らの遺言無効確認訴訟が急増し、遺言をした人の意思決定能力評価の確立が高齢化社会の課題となっているだけに、注目を集めそうだ。
京都府立医科大学によると、遺言能力チェックリストは弁護士、税理士、司法書士ら法律の専門職が遺言する人の意思決定能力に問題がないかどうか、医学的な見地からチェックする項目を列挙したもので、大まかに遺言能力を把握できるようにしている。
法律の専門職がチェックしたあと、専門的な訓練を受けた臨床心理技術者がインターネットを通じて認知機能検査や金銭などに対する判断力を調べるスクリーニング検査を実施、遺言能力を評価する。遺言能力スクリーニング検査でリスクがあると判定された場合、医師が診て診断書を出す仕組み。
高齢で認知障害を持つ人が遺言を作成した段階で遺言能力の有無が問われ、裁判などで遺言が有効か無効か争われることが近年増えている。裁判所が有効か無効かを判断する際、遺言書作成段階で遺言能力を評価した資料が必要になるが、法律の専門職と医学の専門職をつなぐ機会が乏しく、連携がうまくいっていない事例が目立っていた。
参考:【京都府立医科大学】「遺言」あなたの想いを残すために ~遺言能力評価の標準化に向け遺言能力観察式チェックリストを開発(PDF)