浜松医科大学はNCC株式会社、ASP Japan 合同会社、浜松日産自動車などの協力を得て、浜松市東区の浜松医科大学付属病院で電気自動車(EV)の電力で医療器材の洗浄や滅菌が可能かどうか調べる実験を行った。災害時に水や電気が使用できない事態に陥った際、医療を継続できるかどうか確かめるためで、3回の実験とも滅菌まで完了できることを確認した。
浜松医科大学によると、実験は附属病院の彦坂宗平看護師、医学部の吉野篤人特任教授、次世代創造医工情報教育センターの齋藤岳児准教授らが、大地震の発生で水と電気を使用できなくなる緊急事態を想定して進めた。
彦坂看護師らは大学のプールサイドに設置した医療用洗浄水生成装置でプールの水を浄水したうえで、その水で医療器材を超音波洗浄、そのあとで滅菌した。いずれの器材も動力源にEVの電力を使用した。実験は計3回繰り返されたが、すべて滅菌までの作業を無事に終えることができた。
太平洋に面した浜松市は南海トラフ巨大地震が発生すれば、震度6強の揺れに続いて18分後に最大15メートルの津波が押し寄せると推定されている。津波の被害は中区のJR浜松駅付近まで及ぶ可能性があり、広大な区域が浸水する見込み。
人的被害も大きくなると予想され、医療機関のフル稼働が避けられそうもないが、避難所などで停電や断水が起きた際の電力確保が課題に浮上していた。
参考:【浜松医科大学】電気自動車(EV)の電力で医療器材を洗浄から滅菌まで行うことが可能か否かを確かめる実証実験を行いました