玉川大学工学部 デザインサイエンス学科 インタラクションデザイン研究室の青山恭章さん(4年)と木村光希さん(3年)が神奈川県座間市で発掘された縄文土器の一部「表裏型顔面把手」の3Dモデル化に成功した。完成した作品は座間市の式典で活用された。

 2022年、座間市内で行われた水道管付設替工事中に発見された「表裏型顔面把手」は、縄文時代中期(約5500~4500年前)の深鉢型土器の一部。口縁部の表裏両面に人の顔を模した特徴的な把手がついており、このタイプの遺物は全国で類型が2例報告されているだけで極めて希少性が高く、座間市の指定重要文化財になっている。

 玉川大学工学部デザインサイエンス学科は、座間市教育委員会からこの「表裏型顔面把手」の複製体を制作して教育に活かしたいと相談を受けた。同学科の平社講師は相模原市での同様の取り組み経験をもとに大学内のメーカーズフロア※を活用し、学生たちにも実践的な学びの場を提供するべく今回の連携が実現した。

 3Dモデルの製作では、木村さんが座間市教育委員会立ち合いのもと、内部の空洞など細部まで精密にスキャン。メーカーズフロアにあるデジタルファブリケーション機器を駆使し、青山さんが素材に木材を20%含んだ特殊なものを採用、約15回の試行錯誤を重ねて完成させた。

 座間市教育委員会は一般公募で表裏型顔面把手に「ザマロン」という愛称をつけ、命名者にこの造形作品を副賞として贈った。今後、本文化財の複製を制作し教育現場での活用を検討しており、引き続き⼯学部デザインサイエンス学科と連携して具体的な計画を進めていく予定。

※工学部と芸術学部を中心にすべての学部の学生が利用できるものづくりのためのオープンスペース。助手や技術指導員が常駐し学生の作業をサポートしている。アイデア・コンセプト構築から3D設計、プロトタイプ制作、検証までの全プロセスをワンフロアで進めることができる「デジタル」エリアと、主に金属加工を行うための本格的な工作機械を完備した「工作機械」エリアがある。授業だけではなく、学生個人でのものづくりや学部を超えた共同のプロジェクトなどでも自由に利用できる。

参考:【玉川大学】文化財を身近に感じる取り組みを学生たちがアシスト!玉川大学工学部デザインサイエンス学科の学生たちが、座間市指定重要文化財「表裏型顔面把手」の3Dモデル化に挑戦

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大学ジャーナルオンライン編集部

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