名古屋大学大学院の小田裕昭准教授らを中心とする研究グループは、朝食欠食をして不活動な生活をするとメタボリックシンドロームにつながる内臓脂肪蓄積が起こることを明らかにした。

 メタボリックシンドロームは、食べ過ぎ、特に油の摂り過ぎが原因として考えられてきた。特に、内臓脂肪型肥満が健康に良くないことが知られている。いわゆる中年男性に多い「お腹ポッコリ」の肥満だが、実験動物に高脂肪食を与えて肥満にさせた場合には体全体の脂肪が増えるだけで、ヒト、特に男性でどのようなメカニズムで内臓脂肪が貯まるお腹ポッコリ肥満になるかは不明だった。

 研究グループは今回、マイルドな高脂肪食を不活動症候群モデルラットに与え、朝食を欠食させる群とそうでない群を設けて比較した。

 その結果、不活動で朝食を欠食させると、体重は増えないが内蔵脂肪が蓄積していた。不活動症候群モデルラットや朝食欠食だけでは内臓脂肪の蓄積は起きないため、両者の組み合わせが内臓脂肪を蓄積させることが判明した。朝食欠食により体内時計が乱れ、体温上昇のリズムが遅れ、肝臓や脂肪組織の脂質代謝関連遺伝子のリズムも遅れることで、脂質代謝が乱れて内臓脂肪の蓄積が起きることが分かった。

 今回の研究により、不活動の生活で朝食を抜くような不規則な食生活をすると内臓脂肪型肥満につながることが明らかになった。運動するということではなく、日常生活で十分動いて、朝食を食べるなどの規則正しい食生活をするとお腹ポッコリ肥満を予防できることを示唆している。食べ方や生活習慣の改善により、お腹ポッコリ肥満やメタボリックシンドロームを予防できる可能性があると指摘している。

論文情報:【Scientific Reports】Physical inactivity and breakfast skipping caused visceral fat accumulation in rats

大学ジャーナルオンライン編集部

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