名古屋大学の角谷快彦特任准教授は老後の将来への不安が及ぼす精神的ストレスや予備的貯蓄の増加などの、経済に悪影響を与える要因を特定することに成功しました。
この結果、日本とアメリカでは保有資産が小さいと不安が増大し、運動習慣が不安を減少させます。また、日本では想定される生活費に占める年金の割合が高い程安心できることも分りました。これに対して中国では資産、年金、運動習慣や家族構成などがほとんど将来への不安に影響していませんでした。またインドでは持ち家でないと老後の生活不安が増大するようです。最も注目するべきは、子供との同居が不安を低減させると予想されていたのに対して、4カ国すべてで影響していなかったことです。
こうして社会の状況によって人々が不安に感じる要因が異なることや、その要因が何かを特定することができました。これまでは社会保障や備蓄だけに着目して研究が行われていたところに、社会状況に応じた違いも考慮する必要性を示す結果です。今後の政策立案にも新たな視点を取り入れるきっかけになると期待できます。