生成AIの普及が急速に進む中、大学生や大学院生の間でデータサイエンティストの将来性に期待する声が低下していることが、一般社団法人データサイエンティスト協会が実施した全国調査で明らかになった。

 調査は2024年12月、全国の大学生、大学院生を対象にインターネット経由で実施、所属学部に関係なく一般の男女学生各300人から有効回答を得て集計した。大学生向けのデータサイエンティストに関する調査は今回で5年目。

 それによると、データサイエンティストの認知度は前年の調査と同じ62%で高止まりしている。認知したきっかけはテレビやインターネットが依然として目立つが、コンサルタントやシステムエンジニアに比べて大学の教職員からがやや多かった。

 各大学でAI・データサイエンス教育が進むなか、データサイエンス基礎/入門の授業を受けた+「興味がある」と答えた学生の割合は47%で、前年調査から2ポイントの微増。数学・データサイエンス関連の授業の受講率も前年から大きな変化がなく、浸透しつつあるものの、受講率も伸びが高止まりした。

 データサイエンティストに「興味がある」、「やや興味がある」と答えた学生も増え、志望理由として「おもしろそう」、「自分の能力・専門を生かせる」を挙げる声が多かった。一方、「将来性がある」と回答した学生は21%にとどまり、30%を超えていた前々年から大きく低下している。データサイエンス協会は「生成AIなど人工知能がもたらす影響を考え、将来への期待値が下がっているのではないか」とみている。

 なお、生成AIの利用率は47%に達し、前年調査の27%を大きく上回った。学年・文系理系に関係なく20ポイント増加し、知らない学生も25%→14%に大幅に減少した。活用シーンでは「論文や教科書の要約」がトップで変わらず、以降「レポートや論文の作成、添削」「テスト問題や宿題の解答補助」が高くなっている。

 AI(人工知能)に対するイメージは、ポジティブなイメージを持つ学生が多いが、1・2年生は「仕事を奪う」「怖い」「不安」といったネガティブなイメージが目立った。理系学生は「業務効率・生産性を高める」「暮らしを豊かにする」といったポジティブなイメージを持つ学生が40%程度と最も高い。

参考:【データサイエンティスト協会】学生向けアンケート<データサイエンティストについて>

大学ジャーナルオンライン編集部

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