2023年度に日本の大学や研究機関から海外へ派遣された研究者のうち、30日以内の短期派遣が前年度の2倍近くに増えてV字回復したのに対し、30日を超す中長期派遣は11.6%増にとどまったことが、文部科学省のまとめで分かった。

 調査は公益財団法人未来工学研究所に委託し、国内の国公私立大学、高等専門学校、独立行政法人など927機関を対象に海外との年間研究交流状況などを質問、うち849機関から回答を得て集計した。

 それによると、2023年度の派遣研究者総数は11万236人で、短期派遣が10万6,613人、中長期派遣が3,623人。総数は2000年代初頭と同程度の水準。短期派遣数も2000年代初頭並みに回復しているが、中長期派遣数は当時の半数程度にとどまっている。

 全体の96.7%を短期派遣が占めたのは、コロナ禍前も同様。海外との研究交流がコロナ禍からの回復が進んでいるといえるが、中長期の派遣数は2000年度の7,674人をピークに緩やかな減少が続き、2019年度と比較すると10%以上少ない数字が出ている。

 未来工学研究所の過去の調査報告書(2017年度)では、2013年度以降、大学や公的研究機関で自機関運営資金による派遣の割合が減少していることが指摘されており、大学等の予算不足が中長期海外派遣の減少要因の一つと考えられている。

参考:【文部科学省】国際研究交流の概況(令和5年度の状況)

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。