神戸大学海洋底探査センターの巽好幸教授ら研究グループが発表した「鬼界海底カルデラ」に関する論文が、『Scientific Reports』誌(Nature Publishing Group発行)で「最も読まれた論文TOP100」に選出された。2018年、同誌には17,000本以上の論文が掲載。この中から同論文は28,000回以上の閲覧数を獲得し7位となった。論文概要は以下の通り。
「巨大カルデラ噴火」は大量のマグマ(40立方キロメートル以上)を一気に噴出して大規模なカルデラを形成する噴火。日本列島では過去12万年間に10回発生。今後100年間の発生確率は約1%という。巨大カルデラ火山は九州と北海道に集中し、噴火すれば甚大な被害が予想される。発生メカニズムの解明と噴火予測は急務だ。
神戸大学海洋底探査センター(KOBEC)は神戸大学大学院海事科学研究科附属練習船の「深江丸」により、九州南方の「鬼界海底カルデラ」で探査航海を3回実施。精密海底地形調査、反射法地震探査、海中ロボットによる観察、岩石試料の採取と分析、海底地震計・電位差計などを用いた観測などを行った。
その結果、7300年前の巨大カルデラ噴火以降の短期間に、地球上で最大クラス(32立方キロメートル以上)の巨大溶岩ドームが形成されたことを確認。この溶岩は、巨大カルデラ噴火を起こしたマグマとは異なり、現在の薩摩硫黄島などの後カルデラ火山と同じ化学的特性を示す。これにより、鬼界カルデラには大規模なマグマ溜りが現在も存在している可能性があるという。
研究成果は2018年2月にオンライン科学雑誌『Scientific Reports』に掲載。2019年5月に同誌から公開された「Journal Top 100」で閲覧数7位を獲得した。