徳島文理大学人間生活学部児童学科の松本有貴教授、鳥取大学大学教育支援機構の石本雄真准教授、神戸大学大学院人間発達環境学研究科の山根隆宏准教授の共同研究チームは、日本国内の6~12歳の発達障害をもつ子どもを対象に、これまで定量化されていなかった”不安の高さ”を調査した。
自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(LD)、知的能力障害(ID)といった神経発達障害(発達障害)をもつ子どもは、”高い不安(怖がる、心配が多い)”があると、海外の研究において明らかになっている。この”高い不安”は、人と関わる機会や新しいことに挑戦する機会を減らすだけでなく、不登校などの二次的な問題にもつながる。しかし、これまで日本では、発達障害をもつ子どもを対象に、日常的な生活場面での”不安の高さ”を調査したものはなかった。
そこで、研究チームは、放課後等デイサービスを利用する子どもを対象に、日本における発達障害をもつ子どもの”不安の高さ”を調査した。調査の結果、一般の子どもに比べ発達障害をもつ子どもの不安は高く、統計的に大きな得点差がみられ、特にASDをもつ子どもではさらに不安が高いこともわかった。また、高い不安だけでなく行動的な問題(多動や友人関係など)でも、発達障害をもつ子どもはもたない子どもに比べてより困難さを経験していることもわかった。
研究チームでは、今後、日本国内でも発達障害をもつ子どもの不安や高い不安から生じる問題に対応する支援が行われるだけでなく、発達障害をもつ子どもが高い不安によって悩まされていること、不安への支援が必要であるという理解が深まることを期待している。