新型コロナウイルス感染症拡大の影響で教育現場での実習が困難になっている中、城西国際大学福祉総合学部では、理学療法学科の4年生63名がオンラインによる臨床実習に挑んだ。
今回のオンラインによる臨床実習は、城西国際大学と、脳梗塞や脳出血患者のリハビリを専門とする「動きのコツリハビリセンター」(兵庫県西宮市)の連携で実現したもの。患者自身が社会的役割を果たすことで自信を取り戻す機会を作りたいと考えていた同センター代表で理学療法士の生野達也氏と、オンライン授業に実習の要素をどう取り入れるかという課題を抱えていた城西国際大学福祉総合学部理学療法学科の桑江豊助教とが中心となって企画した。
実習は、2020年8月17~29日に実施され、4~5名ずつのグループに分かれた学生が脳卒中の当事者にオンラインで問診した。学生たちは患者に、生活するうえで困っていることや辛い症状の有無などを質問したほか、患者のそばにいる理学療法士に「右腕がどの程度上がるのか確認したいです。まず前方に30度まで上げてもらってください」等と伝え、患者の症状を確認した。
学生たちは、オンラインではありながら、実際に患者とやり取りしたことで「生きた現場」を体験。やってみたからこそ、患者が椅子から立ち上がるときに気を付けてほしい点などを具体的に伝えることの難しさを実感した。
参加した学生からは「実際に患者さんとやり取りできたことはいい勉強になりました」「オンラインだと触診することができないので、理学療法士の方に代わりにやっていただきましたが、患者さんのどのような動きを見たいのかを具体的にお願いするのが難しかったです」「オンラインで患者を診察することへの可能性を十分に感じました」などといった感想が聞かれた。